手術・治療

手術の術後

現在、タイオーバー法と以下に示す、持続吸引チューブ挿入法を併用しております。

チューブ法と併用の場合、術翌日あるいは2日目くらいに外します。

  • 約6箇所から8箇所に針糸をかけ、ガーゼを縫合し創面に固定

手術後のケア

当院ではタイオーバーと言ってガーゼ数枚を丸めて創を覆うように直接脇の周りの皮膚に縫い付け、約1週間放置する方法と持続低圧吸引法と言って、傷の下にチューブを留置し簡易ポンプで持続的に吸引する方法の二つの方法があります。最近ではタイオーバー法と持続低圧吸引法の併用を行っております。その間腕をあまり動かさないように気をつける必要があります。術後わきの下に血がたまってしまう事を予防するためです。仮に術後皮下に出血があった場合、放置すると皮膚が死んで、傷の治りが極端に悪くなります。それを防ぐためにもタイオーバー法と持続低圧吸引法併用は有効ですし、又テープなどでガーゼを止めませんのでかぶれ等の心配もありません。タイオーバーは術後2日目に外し、持続チューブは4日目に外します。そのさらに1週間後に創の観察を行います。従いまして、通常は術後、1、2回の外来通院が必要となります。タイオーバー乃至チューブを外すまでは脇が濡れないように注意して入浴していただきます。タイオーバー乃至チューブ除去後は普通にシャワーを浴びることができます。傷の処置は水道水で洗って、清潔なタオルで拭くそれだけです。消毒や軟膏等の処置は必要ありません。

タイオーバー法と持続吸引法の利点と欠点

タイオーバー法は、確実な止血、血腫予防効果が期待できます。反面、強い力で縫合固定するためにどうしても傷の周囲に10数箇所の縫い傷跡が残ってしまいます。そしてタイオーバーを外すまで痛みが続くことが多いようです。持続吸引法では痛みはほとんどありませんし、傷の周囲の縫い傷は残りませんが、血腫予防効果の点ではタイオーバー法に劣ります。又、持続吸引のための小さなポンプを術後数日間身に付けていなければならないと言う煩わしさがあります。

 タイオーバー法と持続吸引チューブ法の併用(平成23年1月より開始し現在はほぼ全例に実施)

タイオーバーでは痛みと縫い傷が残りやすく、また持続吸引チューブ法では術後の血腫がタイオーバーに比べて生じやすい欠点があります。

その両方の欠点を補う目的で併用を開始しております。タイオーバーは手術翌日くらいに外し後を持続吸引チューブに任せます。タイオーバーの欠点である痛みは術翌日で解消し、持続吸引法の欠点である術後血種はタイオーバーによってほぼ抑えられます。以前の方法に比べて併用は明らかに術後の経過が良好ですので、これを今後の標準的術後固定の方法としたいと思います。

持続吸引チューブ挿入例

  • 剥離した脇の下の空間に排液のためのチューブを置いた所です。

    剥離した脇の下の空間に排液のためのチューブを置いた所です。

  • 縫合終了時です。

    縫合終了時です。

  • 透明なフィルムで傷を覆います。 これで終了です。

    透明なフィルムで傷を覆います。 これで終了です。

  • チューブを繋ぐポンプです。 このチューブはポンプに繋がり、血液などを持続的に吸引します。

    チューブを繋ぐポンプです。 このチューブはポンプに繋がり、血液などを持続的に吸引します。

  • ポンプが稼動し低圧で吸引している状態です。

    ポンプが稼動し低圧で吸引している状態です。

上記の持続吸引と共に圧迫を確実にします。

 

 

術後の脇の圧迫固定は血腫や壊死を防ぐために重要です。現在当院ではタイオーバーと言ってガーゼの固まりをわきに直接縫い付ける方法で固定しております。それは、患者さんにとっては愉快ではありませんので、2日目に抜糸してその後は粘着性絆創膏で再固定し手術から5日目に全て(持続吸引チューブも含む)を外しております。この方法によりましてほとんど血腫等の発生は有りません。また、抜糸によって引き攣れる痛みも解消します。従いまして、術後5日目より脇は完全にフリーとなります。激しい運動等はまだ制限がありますが、日常生活上の制限はほぼ無しとなります。

 

以上の術式が現在当院で実施している方法です。この方法はほとんど再発が無いとされている術式です。

ただ、乳輪やまた腋毛の範囲を遠く離れたアポクリン汗腺は物理的に除去できません。しかし、腋臭の主な原因となる腋窩の大部分のアポクリン汗腺を除去しますのでほぼ根治が期待できます。