わきがとは

わきが(腋臭)と多汗症

わきが(腋臭)と多汗症

実際にわきの下の汗の悩みを訴えて外来を訪れる患者さんの話を伺うと、汗の臭いが気になるという方と、臭いより汗の量が多く、服に汗ジミができて困るという方がいます。狭い意味では前者をわきが(腋臭)と呼びます。後者は多汗症といって区別します。しかし実際はその両者が合併していることが多いため、一般には両方ともわきが(腋臭)と呼ばれてしまう傾向があるようです。実際、腋の下に限った多汗症の人の組織を調べると、アポクリン汗腺が著明に肥大し数も著明に増えていることが確認されています。従って、腋の下に限れば、腋臭の手術は、腋下の汗を著減(1/3から1/5)させます。しかし全くゼロにすることはできません。

2種類の汗腺

汗腺には全身に分布し、体温の調節に重要な役割を果たすエックリン腺と、わきの下に多く分布するアポクリン腺があります。エックリン腺はわきの下にもありますが、アポクリン腺はわきの下、乳輪周囲、性器周囲以外にはあまり存在しません。エックリン腺は比較的小さな器官で、皮膚のかなり浅いところにあります。一方アポクリン腺はエックリン腺より大型の器官で、皮膚の深いところにあります。わきが(腋臭)の臭いの原因は主にアポクリン腺です。この汗腺からの汗自体に匂いがあるわけではありませんが、それが細菌による分解等を経て臭いの元となります。(皮脂腺も臭いに関係があるといわれていますが、これはわきの下だけでなく全身に分布しています。)

わきの下の多汗症の原因はアポクリン腺とエックリン腺の両方にあります。アポクリン汗腺はアドレナリン作動性神経の支配下にあり興奮、緊張したときなどに汗をかきます。従って、腋臭の手術は緊張性の脇の発汗を著明に抑えます。

アポクリン腺は性ホルモンの影響を強く受けているため、思春期以降つまり中学生くらいになってから症状が始まります。遺伝する疾患(優性遺伝)ですので、 父親か母親がわきが(腋臭)の場合には、子どもにも生じやすくなります。普通誰でもアポクリン腺を持っていますが、わきが(腋臭)の患者さんはアポクリン腺自体が大きく発達しており(いくら位の大きさ)、その密度も高いことがわかっています。もともと、アポクリン腺は性に関係が深く、フェロモンの分泌のための器官とも言われています。